70年代前半の周辺事情 その1

この項目では1970年代前半のバンダイキャラクタープラモデルについて取り上げてきました。 
全体の状況変化をわかりやすくするために副次的な事象については省略してきたので、ここでいくつか補足しておきます。

バンダイ模型のリアルでない例
 
 
当時のバンダイ模型キャラクタープラモについて「リアル志向で出来がよい」と述べてきましたが、中にはリアル感とは遠い製品も存在しています。
 

画像は「ウルトラホーク秘密基地」シリーズのホーク1号ですが、寸詰まりで分厚い機体は映像イメージとはかけ離れています(画像のパーツは1983年の再版)。
同シリーズのホーク2号や「サンダーバード秘密基地」シリーズのTB1号などもリアルとは言いがたい形状です。
 

これは「マスコット変身忍者嵐」のハヤブサオーに騎乗する嵐(一部欠損あり)。
化身忍者とセットの立像プラモはスケールモデルを思わせる出来ですが、こちらはずいぶんマンガっぽい造形です。
 
このように同じ時期でも製品によって出来にバラつきがあるのは、設計担当者の違いによるものと思われます。
関係者インタビューによれば、当時のバンダイ模型では価格と金型サイズ以外の具体的なキット内容は担当設計者に一任されていたそうで、そうしたやり方はガンプラブームの頃まで続いていたようです。
当時のバンダイ模型社内には「プラモデルはオモチャではない」「スケールモデルこそ模型の王道」といった意識が強かったそうですが、それは組織として明確に合意されていたわけではないようなので、担当者の技量や志向性の違いが製品に反映されていたと考えられます。
 
ただし、こうしたリアル感の薄い例は多くはないので、全体的な傾向として「当時のバンダイキャラクタープラモデルはスケール志向が強く、出来のよいものが多かった」と考えることは間違いではありません。
 
 

また、スケール志向のキャラクタープラモデルは同時期の他社にも存在します。
例えば東京マルイのマットアローシリーズは劇中ミニチュアの形状を忠実に再現していますし、日東科学のゼンマイ歩行ジャイガーの皮膚感表現には明確なリアル志向が感じられます。
画像のアオシマのミニプラモも、スペクトルマン(71年)ではマンガっぽい造形だったのがイナズマン(73年)ではかなりリアルに変化しています。
 
こうしたリアルなプラモの背景としては、バンダイ模型と同様に担当設計者の資質が表れている場合や、男児向けキャラクター商品全体がリアル化していく傾向の影響などがあると考えられます。
 

リアル化するキャラクター玩具 ①
 
 
1971~72年ころは、男児向けキャラクター商品全体が急速にリアル化した時期でした。
 

すでに触れた通り、バンダイ模型のグループ会社であるポピーはこのころ「変身ベルト」「ポピニカ」というふたつのヒット商品を発売しています。
 
変身ベルトは仮面ライダーやバロム1など初期製品では玩具的で過剰な装飾は控えられており、劇中の形状と機能の再現を目ざした「リアル」なものになっています。
ただしヒット商品となった後には玩具化を前提にオモチャ会社がデザインを担当するという本末転倒が起こり、現在も続く「リアルなりきり玩具」の源流となります。
 
 
一方のポピニカも、初期に「ミニミニ」名義で発売されたサイクロン号やマッハロッドにはスケールが表示されており、本格的なミニカー志向だったことがうかがえます。
 
「キャラクターものミニカー」としては英国ディンキートーイのサンダーバードなどが存在しており、ポピニカの発想にはその影響が想像されます。同様の動きは他社にもあり、国内ではヨネザワの「マットカー」がポピニカより先行していたのをはじめ、キャラクター作品のダイカストミニカーはポピニカと同時期に多数発売されています。
 

画像はブルマァクの「ブルペット」シリーズ、向かって左からジャンボフェニックス、タックファルコン、サットカー。
クリアパーツの採用で、リアル感と玩具的な華やかさがうまく融合している印象です。
関係者の著作によれば、ブルペットは評判は良かったが生産ラインの問題で迅速な増産ができずに売り時を逃がしてしまったそうです。
 

こちらはフジホビー「ダイカミニ」シリーズのポインター、マットジャイロ、ウルトラホーク3号。
形状はまずまずですが、小ぶりで安価な製品のため質感はいまひとつの感じです。さまざまな形態で販売されており、一部の在庫品は袋入りで駄菓子屋経路でも売られたようです。
 

やや遅れて登場したのは永大の「グリップキャラクター」シリーズ(画像は1980年生産版)。
ポピニカより下の価格帯で、80年代初頭まで継続した人気シリーズでした。サンダーバードメカの商品化ではポピニカより先行しています。
 
 
 
変身ベルトのような本格的な「なりきり」玩具やミニカー感覚の精密なキャラクターモデルは、1960年代後半の「第一次怪獣ブーム~サンダーバードブーム」のころにはなかったもので、70年代に登場した新機軸の「リアル玩具」でした。
 
バンダイ模型のキャラクタープラモデルもこのような玩具のリアル化の情勢にうまく合致しており、堅実な存在感を示していたと考えられます。 
 
 
(続きます)
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[ 2010/06/21 03:52 ] ジョイントモデル以前 | TB(0) | CM(0)

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