セブンとタロウ


ブルマァク製30cmサイズのウルトラセブンとウルトラマンタロウ。
セブンはマスクの取れる仕様で1972年、タロウは73年の発売。この2体を並べると気付くことがあります。



タロウはセブンに似たデザインですが、これらは人形としての造形もよく似ているのです。



ボディや手足の比較。
デザインの差異は別として、手袋の縫製ディテールやブーツの長さ以外はほとんど同じ。



さらに詳しく見てみます。
画像ではわかりにくいですが関節部はしわの本数や角度、深さまで完全に一致しています。
内腿や背中の曲面ラインにわずかな差異が見られるものの、表面ディテール以外の「素体」というべき部分のほとんどがそっくりなのです。


同サイズで同じ原型師が担当したと思われる人形は他にもあり、造形的な特徴は共通しています。
ただし関節のしわ一本まで完全に一致するようなことはないので、セブンとタロウは特殊なケースと思われます。
(画像の隊員ヘルメットは復刻版を使用しています)



両者の頭部を観察すると顔つきもよく似ていることに気付きます。


画像を合成してみると口の形状、目の周囲のへこみの下部はほぼ一致しました。
右目の放射状ディテールもかなり重なっています。

こうしたことからタロウの原型はセブンを改造して作られた物と予想されるのですが、素体部分は共通で表面ディテールのみ変えるということは可能なのでしょうか。


この疑問を考えるために、ソフト人形の製造工程をおおまかに確認しておきます。

 1. 原型師が粘土などで原型を作る(粘土原型
 2. 1を石膏で型取りして石膏製のメス型を作る
   この段階で粘土原型は失われる
 3. 2にロウ(ワックス)を流し込んで粘土原型の複製を作る(ワックス原型
   ワックス原型は商品のパーツ分割に合わせて分解され、はめ込み部分が造形される   
 4. 3にメッキをかける。厚く積層したメッキ自体が金型(元型)となる
   この時点でワックス原型は失われる
 5. 4にソフトビニールを流し込んで6の工程で必要な数のパーツを生産する(元型抜き
   ソフトビニールは成型時に収縮する性質があるため、成型品は1や3より少し小さくなる
 6. 5にメッキをかけて量産用の金型を作る(量産型
 7. 6にソフトビニールを流し込んで量産品を作る
   この時点で再び収縮が起こるため、量産品は元型抜きよりさらに小さくなる 

 
上記のどの段階で手を加えるとセブンとタロウのような状態になるか考えてみます。

① 2の石膏製のメス型が残っていれば、そこからワックス原型を作ってワックス段階で改造することが出来ま   す。この場合量産品は同じ大きさになります。
  (石膏型は通常は廃棄されてしまうようなので、保存されていたかどうかは不明)

② 4以降の工程ではソフトビニールの成型品に手を加えることになりますが、硬い表面を削ってデザインの差異  や縫製の繊細なディテールを加えたとは考えにくいです。
  ただし一度型取りしてワックスに置き換えればそうした造形は容易になりますが、その場合工程が増えた分だ  け量産品のサイズは小さくなります。
  セブンとタロウの足裏を合わせてみるとタロウの方がやや小さいので、5の元型抜きをワックスに置き換えて改  造した可能性が考えられます。
  (これは両者が量産品という前提。タロウは大きさの異なる元型抜きがB-CLUBから再版されているので当時  品が量産型というのは確定していますが、セブンの当時品が元型抜きという可能性は残っています。その場   合はこの説は成立しません)

上記の①と②、どちらも可能性はありますが決定的ではありません。
当時品のセブンが元型抜き・量産品のどちらなのかが確認出来れば判断できるのですが…
 

ここまで考えた段階で、同じサイズでマスクの取れる帰ってきたウルトラマン(マスク無しのジャンク品)を調べたところ、この人形も素体部分がほぼ共通であることが判明してしまいました。


これは一体どう考えるべきでしょうか?

(続きます)
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[ 2010/01/03 20:58 ] ソフト人形 | TB(0) | CM(0)

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