《再掲》クローバーのガンダム1


2010年8月22日投稿の再掲載です。




クローバーのガンダム その1
 

 
1979年放映の機動戦士ガンダムは、無敵超人ザンボット3無敵鋼人ダイターン3に続く日本サンライズのオリジナルロボットアニメ第3弾でした。
いずれも玩具会社のクローバーがメインスポンサーとなっており、ザンボット3(1977・全23話)・ダイターン3(1978・全40話)の玩具の好調を受けてガンダムは全52話(一年間)の予定で放送をスタートしました。
 
ところがガンダムの玩具は予想外の不振で売り上げが低迷し、そのため43話に短縮されて放送打ち切りとなります。
ガンダムの後番組の無敵ロボトライダーG7最強ロボダイオージャなどは一年の放送期間を全うしており、一連のシリーズでガンダムの玩具だけが深刻な不調だったようです。

 

 
本放送当時のガンダム関連玩具の不振の理由として、書籍などでは次の二点が指摘されています。
 
 1. 中高生以上を対象とした作品内容と合金玩具の購入層に年齢の乖離があったこと
 2. クローバーの玩具は色彩や形状が独自にアレンジされていて作品中のキャラクターとはイメージのギャップが大きかったこと
 
 
まず上記1.について考えます。
ガンダムの作品内容を簡単にまとめれば「戦争に巻き込まれた少年たちが必死に生き延びる中で、さまざまな大人や組織と接して世の中のありようを体感していく」という青春群像の物語です。
 
オープニング映像では勇ましく拳銃を撃ったアムロがさっそうとコアファイターを発進させ、派手なスパークを散らしてガンダムに合体するさまが描かれますが、実際の本編内容は全く異なります。
敵兵に銃を向けるアムロは恐怖と逆上に震え、コアファイターの発進では身体にかかるGに苦しみ、ガンダムへの合体は段取り的に淡々と描写されて派手な見せ場にはなっていません。
こうした点からもガンダムが「幼年向けのロボットアニメ」という容れものに「中高生以上に向けた本気のドラマ」を確信犯的に盛り込んだ作品だったことがわかります。
 
マジンガーZ以来のロボットアニメの定型を逸脱したこうした要素は、単純な勧善懲悪を求める低年齢層への訴求の点では不利にはたらいたのかもしれません。
 
 
上記2.の玩具と劇中キャラクターのギャップについては以下、主要な合金もので具体的に見てみます。
 

画像はアニメの設定に忠実なバンプレスト製スーパーサイズソフビフィギュアと、クローバーのダイカストDXガンダムの比較です。
「白いモビルスーツ」と呼ばれる劇中のガンダムと、銀メッキを多用した玩具では印象が大きく異なります。
 

こちらはDX合体セットのガンダム。胴体以外はダイカストDXのパーツを流用しています。
右肩にはミサイル砲を付けるための突起があり、美観を損ねています。一本しかないビームサーベルやガンキャノン用のライフルなど、武装もおかしな状態です。
 

基本体と呼ばれるダイカストガンダム。口にスリットのないマスク、突起のない胸部など、設定と異なる特徴はDX系と共通しています。
クローバーが参考にしたのははアニメ用の決定稿ではなく、準備稿や玩具専用の設定だったようです。(詳しくはこちら)
 

この中ではもっとも廉価なダイカストバリエーションガンダム。胸元の色彩は準備稿をもとにしています。
 
以上の通り、クローバーの玩具は映像中のガンダムとはかなり印象の異なるものになっています。
特に鼻が露出したようなおかしな頭部はソフト人形やお面にまで徹底されており、本放送時のクローバーの玩具にはアニメ通りの顔のガンダムはひとつも存在しないという信じられない状況でした(のちの映画化に際しての新商品では改善されたものも存在します)。
こうしたイメージギャップが玩具の販売にマイナスの影響を及ぼした可能性は否定できません。
 

 
クローバーの玩具がアニメとかけ離れていたからこそ、バンダイ模型の1/144ガンダムが「これこそイメージ通りのガンダムだ!」と熱狂的に受け入れられたという側面もありました。
 

玩具不振の理由とされる上記のふたつの要素にはある程度の合理性があるだろうことがわかりました。
ただし気をつけておきたいのは、「ガンダムDX合体セットは放送当時もよく売れていた」という事実です。
 

 
DX合体セットは本格的な合金玩具では初めてコアブロックシステムを再現し、作品後半に登場のGファイター(Gメカ)の各種合体も実現した年末商戦向け大箱玩具でした。同時にGファイターなしの「ガンダム合体セット」も発売されています。
 
先行玩具の売り上げ不振から生産数は絞り込まれたそうですが、売れ行きはたいへん良好で年末・年始時期のヒット商品のひとつになったそうです。
気を良くしたクローバーは一度は打ち切りを決めたガンダムのワンクール分(13本)の延長をサンライズに打診したとのことで、相当な売れ行きだったことが想像されます。
 
すでに43話での終了を前提に作品制作が進んでいたため延長は実現しませんでしたが、この時点ではガンダムは放送を延長してでも売り続けたい優良コンテンツになっていたことがわかります。
もしも延長が実現していたら、ガンダムの評価は「打ち切られた不人気作品」から「1年以上放送された人気作品」へと180度変わっていたかもしれません。
 
 

 
注意すべきなのは、上記の「玩具不振の理由」とされたふたつの要素をなんら改善しないままでDX合体セットがヒット商品になっているという点です。
 
番組後半のガンダムはスポンサー圧力で毎回のように新型のモビルスーツ・モビルアーマーが登場しますが、それらは試作機・専用機などとして適切に処理され、それまでの作品世界を壊さないよう配慮されています。
オモチャのためのテコ入れとして登場したGファイターでさえガンダムの支援メカ以上の存在にはなっておらず、濃紺を基調とした機体色も含め、派手な必殺兵器のような扱いはされていません。
一方、DX合体セットの色彩や形状は他のクローバーガンダムと同様にアニメとはかけ離れたものになっていたのはすでに触れた通りです。
 
つまり、中高生以上に向けた作品内容で、劇中イメージとはギャップの大きい玩具でも売れているのです。 
このことから、ガンダムの玩具不振の理由は上記の二点だけでなく、他にもなにか重要な要因が存在したのではないかと思われます。
 
 
当ブログでは、DX合体セット以前のクローバーのガンダム玩具の製品ラインナップにひとつの原因があるのではないかと考えています。
次回はこの点を具体的に検証してみます。
 

 
(続きます)
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[ 2019/11/15 00:46 ] 合金・プラトイ | TB(-) | CM(0)

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