ポケットパワーの背景を推理

ポケットパワーの背景を推理する



アオシマが1980~81年に発売したロボットプラモ、「ポケットパワー」シリーズ。
トライダーG7、イデオン、ダイオージャ、シャイアードの4作品が商品展開されました。 
追記:ダイターン3もポケットパワー化されています。ケアレスミスです(恥

このシリーズの特色は、カプセル自販機のようにロボットの体内からミニチュア入りのカプセルが出てくるというギミックです。





画像のように、カプセルもその中身もパーツ化されています。
イデオンの場合、合体前のA,B,Cメカらしきパーツのほかにカセットテープ、トランシーバー、ヘリコプター、拳銃?
なども入っています。
作品内容とは無関係なこうした仕様や「ソロシップイデオン」などのオリジナル形態のせいで、このシリーズはネタプラモとして扱われることが多いようです。

とはいえ、ロボットプラモにカプセル自販機(ガチャガチャ)の要素を取り入れようという発想はどのように生まれたのでしょうか。



当時のアオシマ関係者は超絶プラモ道(竹書房2000)でのインタビューで「低年齢向けに開発したもの」「あの頃子供にガシャポンが流行ってたから」と発言しています。
これをもう少し具体的に考えてみます。






1970年代末~80年代初頭のころ、ガチャガチャではウルトラ怪獣消しゴムが人気を集めていました。
こうした「キャラクターをかたどった消しゴム」は70年台初めころから存在していたようです。



当初、この種のキャラクター消しゴムは画像のような単品・袋入りで販売されるケースが多かったようです。
それらはセイカなどの文具メーカー系とポピー・ブルマァク・オンダなどの玩具メーカー系の2系統があり、それぞれ文具店、玩具店を中心に流通していました。
こうした単品売り消しゴムは、キャラクター商品として定番ではあってもやや地味な存在だったという印象があります。



そんな状況下、1976年後半からスーパーカーブームが巻き起こります。
画像の大型カードはロッテ、小型カードは雪印の販促品で、いずれもスーパー・食料品店でもらえたもの。
ミニカーはマセラティ・ブーメランは永大製、童夢-零はカドー製です。

このブームで、主に20円のガチャガチャで販売されるスーパーカー消しゴムが小学生に大人気になりました。
消しゴムなので学校に持っていけるため、ノック式ボールペンを使ったレース遊びが流行したのです。

以前の記事でも触れましたが、このブームではスーパーカーは低年齢層には自動車というよりキャラクターに近い受容のされ方をしており、その意味でスーパーカー消しゴムもキャラクター消しゴムに近い存在でした。
そのためスーパーカーブームが下り坂を迎えると、代わりにアニメ・特撮キャラクターの消しゴムがガチャガチャに投入されるようになりました。

その結果、1977年に登場したキャラクターまでは単品袋入りが主流だったのに対し、78年登場キャラクターからはガチャガチャでの流通がメインになっています。



キャラクター消しゴムの販売経路はこの時点で文具・玩具系から駄菓子屋系に主流が転換し、ガチャガチャだけでなく定番の引きものなどに投入されたり、袋入りセットなども発売されるようになります。
駄菓子屋流通になることで、キャラクター消しゴムは子供にとってより身近な存在に位置づけが変化したように思われます。

そして1978年夏ころから、スーパーカーと入れ替わるようにウルトラ怪獣消しゴムが人気を集め、第三次怪獣ブームの中で膨大な種類が発売されることになります。
アオシマ関係者の感じた「ガチャガチャの流行」とは、具体的には以上のような状況だったと考えられます。



このころ、機を見るに敏なアオシマは怪獣ブームを受けて79年春から放送された炎の超人メガロマンの模型化に取り組んでいます。
商品内容はかつてのようなゼンマイ歩行のヒーロー・怪獣ではなく、作品内容とは無関係なオリジナルメカが主流で、むしろ自社オリジナルのレッドホークシリーズなどに近いものでした。


注目されるのは、それらメガロマンプラモに「消しゴム人形」が付属していることです。
ガチャガチャでの怪獣消しゴム人気をキャッチしていたアオシマは、自社プラモにそれを取り込もうとしていたのです。
ただし第三次怪獣ブームの本質は「リバイバルブーム」だったため、新ヒーローのメガロマンは人気を得ることができず、アオシマのプラモの販売成績もよいものではなかったようです。






一方、メガロマン同様79年4月から放送されていたドラえもんを商品化するポピーは、このころ「超合金ガチャガチャドラえもん」を発売しています(画像は超合金ポピニカ大図鑑/グリーンアロー1997より)。
ポケットからひみつ道具を取り出すというドラえもんの特徴を活かし、子供にとって身近なガチャガチャの要素を併せ持つという意欲的な玩具で、人気のヒット商品になりました。

ガチャガチャドラえもんのヒットを見たアオシマは、

「しまった、そっちだったか!」

と思ったのではないでしょうか。

ガチャガチャの人気には注目していたものの、中身の消しゴムにばかり意識が向かい、カプセル自販機自体の魅力を見逃していたわけです。




以上のような経緯を経て、翌80年2月から放送されたトライダーG7において、アオシマはロボットをカプセル自販機に見立てた「ポケットパワー」の発売に到ったのではないか、というのが当ブログの推測です。

とはいえドラえもんからひみつ道具が出てくることには必然性がありますが、トライダーやイデオンからカプセル入りのカセットテープやヘリコプターが出てきても作品世界とはなんの関係もないわけで、対象の低年齢層であってもあまり魅力を感じられなかったのではないかと思いますが、どうだったのでしょうか?

結局ポケットパワーは、ガンプラブームによる「アニメスケール」への注力に伴ってダイオージャを最後に終了しています。






以下は蛇足です。


ガチャガチャドラえもん以前に、「腹部からものを取り出すマスコットロボット」の合金玩具として、ブルマァクのジンクロン・ろぼっ子ビートンが存在しています。
主役のビートンは3種類が発売され、画像は最小サイズです。



ビートンの放送は76年秋からで、当時はロボコンが高い人気を持続していました。

ビートンの商品化ではライバルロボのブリキンだけでなくガキおやじという中年おやじまでプラモデルや合金で発売されていますが、これはロボコンに登場するさまざまなロボットが超合金やソフト人形で発売されていたことにならっての展開と思われます。
ジンクロンビートンのCM映像が超合金ロボコンシリーズのそれに酷似しているという事実からも、そうした傾向が感じられます。

たしかにロボパーやロボペチャなどが続々商品化されている状況では「ガキおやじだって売れるだろう」と考えてしまうのも無理からぬことかもしれませんが、やはりジンクロン・ビートンシリーズの売れ行きはよくなかったようです。
ビートン自体のジンクロンは、中サイズではルーレット、大サイズではスロットマシーンとして遊べる機能が付加されていましたが、作品世界とは無関係なギミックでは子供に強く訴求することは出来なかったのではないかと思われます。


ポピーは超合金でドラえもんを商品化するにあたり、似たような特徴を持つジンクロンビートンの失敗や、キャラクターの個性に合わせたギミックを工夫したロボコンシリーズでの経験を踏まえて仕様を検討したのかもしれません。
単に形状を合金で再現するだけでなく、「腹部からひみつ道具を取り出す」というキャラクター性をきちんと製品に反映させ、さらに子供にとって身近で人気のガチャガチャの要素まで取り込むという商品企画は、やはり「さすがポピー」です。


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[ 2017/04/09 00:03 ] 暫定 | TB(0) | CM(17)

No title

みつびしのアイアンキングけしごむ、ヘッダーに「バキ…」と見えますが、ダブルサタンですよね?
これは初めて見ました!裏面に描かれてるモンスターゾロも存在するのですかね?
セイカのけしごむはリアルタイム世代ですが、かなりの人気商品でした。ポピーのポケットアイドルは玩具店流通のみだった記憶がありますのでイマイチ浸透していなかったですね。
[ 2017/04/09 04:55 ] [ 編集 ]

No title

印刷名はバキュミラーですが中身はダブルサタンです。
他にジャイロゲスとデビルタイガーは手元にありますが、モンスターゾロは見たことないですね~
[ 2017/04/09 13:31 ] [ 編集 ]

No title

思いもよらない考察にビックリ&なるほど…です!
たしかにガチャガチャドラえもん、ヒットしましたもんね。

そしてアオシマなどアバンギャルド模型メーカーの
「己がもつ子供ハートのみを信じて突っ走る」ノリ、やっぱ好きですね~~👍(笑)
[ 2017/04/09 19:18 ] [ 編集 ]

No title

根拠のない想像なので、話半分でお楽しみいただければ(^^

ロボットプラモとガチャガチャの組み合わせはブッ飛んでますが、ガチャガチャドラえもんというクッションを入れるとスムーズにつながる気がしています。
[ 2017/04/09 23:11 ] [ 編集 ]

No title

>それらメガロマンプラモに「消しゴム人形」が付属していることです。
付属していても、これでどうやって「遊ぶ」のか解りませんでした。
アオシマは三流の会社だと思いました(汗

>ビートン自体のジンクロンは~遊べる機能が付加されていましたが
「不要なギミックだなぁ」と思いました。
ビートンのジンクロンは可愛くなくて、購入しなかったと思います。

>やはり「さすがポピー」です
キャラクターの魅力も有るのでしょうが、箱のデザインとかが魅力的で、あの配色と横に大きく「ポピー」というロゴにトキメキました(笑

以上、私が幼少期の頃に思ったことです。
[ 2017/04/10 17:32 ] [ 編集 ]

No title

私も当時、ポピー以外の合金ものにはあまり興味がなかったですね~

アオシマの合体マシンは大好きでしたが(^^
[ 2017/04/10 21:05 ] [ 編集 ]

No title

タマゴン、、、、は関係ないですね(^^;)
[ 2017/04/11 12:50 ] [ 編集 ]

No title

マークからの再販は82年だったようなのでここでは関係ない…
と思いますが、可能性は否定しきれないですね(^^;
[ 2017/04/11 15:52 ] [ 編集 ]

No title

プラモデルに関してですが…
たしか万創が出していた「解決たまごん」が劇中同様 おなかのダイヤルを回してお腹をひらき「卵(ミニ怪獣入り)」ヲ取り出すギミックがあったような…。また 300円4点パックで観に怪獣も出していた記憶があります。

◎アオシマの「メガロマン」
「流星人間ゾーン」の転用KIT&番組を見てなったので買ってませんが…
シリーズを購入すれば ランチボックス状になるマイクロマシーンの展開基地のような製品があったかと…。消しゴム人形が丁度良かったサイズだったと思います。
あと、ガチャガチャのみならず魚肉ソーセージのオマケでも 結構消しゴム人形付属がキャラ物では出ていたような…
[ 2017/04/16 08:30 ] [ 編集 ]

No title

タマゴンのプラモは73年タツノコランド発売ですね。
tag*m*daiさんへのコメントの通りポケットパワーへの影響の「可能性」はありますが、両者を結びつける要素はいまのところ見つかりません。
「確率」としてはガチャガチャドラえもんの影響が大きいと考えられそう、というのが現状での当ブログの判断です。

メガロマンの基地は合体バトルボックスという同社のミニモデルシリーズに似たものですね。
同梱消しゴム人形に合うサイズとの件ですが、バトルボックスのために消しゴム同梱にしたというより、消しゴムに合わせてバトルボックスが企画されたと考える方が妥当だと思います。
画像を掲載した100円ミニプラモシリーズも消しゴム人形に合わせたミニディオラマになっているし、「子供に人気の消しゴム人形」の導入ありきで商品内容を決めたのではないかと考えています。
[ 2017/04/16 12:25 ] [ 編集 ]

No title

(つづき)
ソーセージのおまけの消しゴム人形については詳しく知らないのですが、70年代キャラクターが存在したというのは確認していません。
戦隊、メタルヒーロー、ウルトラシリーズなどが代表的なものかと思いますが、いずれも80年代中期ころ以降のものしか知らないので、むしろガチャガチャ人気の影響で導入されたものなのかな、とも思いますが…

詳しい方のコメントを希望します(^^
[ 2017/04/16 12:26 ] [ 編集 ]

No title

マルハのザ☆ウルトラマンソーセージにクリア成型の怪獣消しゴム(ポピーの小サイズ)が付いたのが僕の一番古い記憶です。
マルハの人形付はキン肉マン、北斗の拳もありますが、これは明らかにキン消し人気からでしょうね。
戦隊は雪印時代(チェンジマン~ガオレンジャー)がミニ人形。
メタルヒーロー(丸大)はメタルダーからロボタック迄が人形付でした。
82年頃にガンダムのソーセージがあり、モビルスーツ、モビルアーマーのミニ人形が付いていたのですが、メーカーは不明です。
[ 2017/04/16 13:15 ] [ 編集 ]

No title

まさにドンピシャの詳細情報です、ありがとうございます(^^

♪強い~ぞうまいぞ~、ザ☆ウルトラマ~ンソーセージ♪というCMソングは知っていますが、おまけはポピーの小サイズ消しゴムというのは忘れていました。
検索してみると翌年のエイティも同じだったようですね。

70年台の食品のオマケはプラやポリ製が多かった印象ですが、スーパーカーとウルトラ怪獣によるガチャガチャの人気でこのころから消しゴム=塩ビ人形をオマケにする例が出てきて、キン消しなどのブームによって80年台中期以降さらに広まったという感じでしょうか。
とりあえずポケットパワーとは関係なさそうですね~

ガンダムソーセージは記憶にないです。
個人的には、80年のデンジマンでチョコスナックのオマケが消しゴム人形だったのが思い出深いです。
カートン箱の中身はすべて同じ人形という凶悪な梱包だったから、せっかく売っているのを見つけてもその店っではひとつしか買えなくて全然収集できませんでしたよ(T T
[ 2017/04/16 17:57 ] [ 編集 ]

No title

ガンダムソーセージを検索したら、マルちゃん(東洋水産)が発売元だったことが判明しました。
東洋水産はこの頃(82年)「戦闘メカザブングル」「超時空要塞マクロス」の番組提供をしていましたが、これのCMは見た記憶がありませんね。
[ 2017/04/17 10:08 ] [ 編集 ]

No title

検索で箱の画像が見られますね。
赤と白の二種類というのがおもしろいです(^^
[ 2017/04/17 23:26 ] [ 編集 ]

No title

雪印は84年に星雲仮面マシンマンソーセージを発売していたのですが、オマケが番組とは全く関係のないポリ製玩具だったのに唖然としたことを思い出しました(笑)
マシンマンって所謂消しゴム人形の類が存在していないみたいです。バンダイの自販機もプラ組み立てのみで。
バイクロッサーはそもそも自販機や食玩が無いという有様…
[ 2017/04/18 10:56 ] [ 編集 ]

No title

マシンマンソーセージはためしにひとつ買ったおぼえがあります。

空き箱がどこかに残っている……はずですが、どうだったかな~
[ 2017/04/18 23:20 ] [ 編集 ]

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