突撃!ヒューマン

人間と造物主
 
 

 
1972年10~12月に放送された突撃!ヒューマンは、キャラクターデザインと美術監督を成田亨氏が担当されたことで知られています。
 
 

画像は放送当時ヨネザワから発売されたヒューマンのソフト人形。
大サイズは向かって左から戦闘員フラッシャー(触覚が欠損)、ヒューマン、キングフラッシャー。
ミドルサイズは左からフラッシャー、ヒューマン2号、ヒューマン、キングフラッシャー。ヒューマン2号はベルトなど細部がヒューマン1号と異なりますが成型色変更のみで処理されています。
大サイズは端整で完成度の高い造形で、原型師はブルマァクのヒーロー・隊員ソフトを担当されていた増田章氏と思われます。
 
 

こちらのヒューマン2号は2002年にソル・インターナショナルが発売したリアルソフビセットのもの(胸部パーツは未使用)。
 
 

突撃!ヒューマンは舞台ショーの中継録画番組だったためフィルム原版は存在しなかったようで、現在では視聴不可能になってしまっています。
動くヒューマンが見られるのは宮城県でのアトラクションショーの様子を8ミリカメラで撮影した数分の映像が唯一のもので、仙台放送発売の「昭和の情景」というDVDに収録されています。
 
 

本編ではステンレスで造型されたというヒューマンの頭部。ウルトラマンやセブンより抽象性が高まって、成田氏の個性が色濃く出ている印象です。
 

 
1980年代の後半、成田氏が毎年夏に渋谷で個展を開催されていたころ、その会場でお話させていただく機会がありました。
 

ウルトラマンの生みの親である成田氏は、自分にとって神にも等しい存在です。
会場で御本人を目の前にして、お気楽な学生だった私はすっかり興奮してしまい、思い切って話しかけさせていただいたのです。
画集や宇宙船(朝日ソノラマ)などで活字化されていなかったさまざまな疑問についてお聞きすると、成田氏は率直かつきさくに答えて下さいました。
 
 

その時お聞きしたことのひとつに、ヒューマン怪獣についての疑問がありました。
成田氏の怪獣デザイン原則には「既存生物の単純な巨大化はしない」、「見る者に不快感を与えるような表現はしない」という内容がありますが、ヒューマン登場怪獣にはこの原則からはずれていると思われるものが複数存在しています。
アリ、タコ、三葉虫などをそのまま怪獣にしたものや、半身が骸骨化したりグロテスクなディテールを持つ怪獣などです。
これらの怪獣はどのような意図でデザインされたのでしょうか。
 
 

成田氏のお答えは明快でした。
 
「それがテレビ局の要求だったから」
 
突撃!ヒューマンは、土曜夜7時30分から放送されました。企画当初から、大人気の仮面ライダーの裏にぶつけるために作られた番組なのです。
視聴率で苦戦すると、「仮面ライダーはグロテスクな怪人が受けているんだから、こっちもその方向でもっともっとやってくれ」という要求が出たようです。

目先の視聴率を重視するあまり、冷静な状況分析が出来ず現場に無思慮で的外れな要求をするというのは、現在でも散見される気がします。実際には仮面ライダーをブームの主役から引きずり下ろしたのは、ライダーを真似た諸作品ではなく、ヒューマンより2ヶ月遅れて放送開始したマジンガーZでした。
 
 

なお、お馬鹿な私は続けて「成田さんご自身は仮面ライダーをどう思いますか?」とぶしつけな質問をしてしまったのですが、「キャラクターとしてはおもしろいと思う。ただ、醜い者同士が戦うというのは自分の好みとは違うんだ」とおだやかにお答え下さいました。
 
成田氏はヒーローを秩序の典型、怪獣を混沌の典型と定義されていたので、「バッタ男対クモ男」という構図が好みでないというのは素直に納得できました。
 
 
昨年から、成田氏の大規模な回顧展が富山、福岡、青森と巡回中です。
仕事の都合でまだ足を運べていないのですが、青森県立美術館へはぜひとも行こうと思っています。
 

 

ところで、このウルトラマンのイラスト(画像は2007年怪獣と美術展で購入した絵ハガキ)。
現在発売中の成田亨作品集(羽鳥書店)では、このイラストに1966年との表記があるのですが…
 
 

これは不滅のヒーローウルトラマン白書(朝日ソノラマ1982)で成田氏が描き下ろしたものです。
 
成田亨作品集は回顧展の図録も兼ねているようなので単純ミスはないと思うのですが、なにか事情があるのでしょうか。
 
 
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[ 2015/02/10 21:47 ] ソフト人形 | TB(0) | CM(6)

No title

記事タイトル➡からの➡ヒューマン×2で、背筋が伸びた思いがしました。
貴重なエピソード、有り難うございます。感動します。

>これは不滅のヒーローウルトラマン白書(朝日ソノラマ1982)で成田氏が描き下ろしたものです。

そうですよね~。スッキリしました。
[ 2015/02/11 07:14 ] [ 編集 ]

No title

タイトルはヒューマンと成田氏のつもりですが、おかしな誤解を生みそうなので変更しました…

当時成田氏にお話をうかがった時、活字化されていなかったセブンのデザインコンセプトを初めて知って仰天したのも忘れがたい思い出です(^^
[ 2015/02/11 10:18 ] [ 編集 ]

No title

青森県立美術館のミュージアムショプでヒューマンのブロンズ像を販売しております。青森県立美術館にお越しの際は、お立ち寄り下さい。
[ 2015/04/27 17:39 ] [ 編集 ]

No title

青森県立美術館へは時間を作ってぜひともうかがいたいと考えています。

ブロンズ像は自分には分不相応ですので、かつてのマンやセブンのように買いやすいレプリカもご検討いただけたらと思います
[ 2015/04/27 22:59 ] [ 編集 ]

No title

ソフビの画像に反応して閲覧させていただきました。
当時ものの大きいソフビの造形が良くて個人的に好きですね。

私はミドルサイズのヒューマンとフラッシャーの大きいのと、
ヒューマンの面取れのパチもんだけ持ってるんですが、大きいのは
それなりの値段になりますんで、貧乏人の私は多分今後も購入は
無いだろうと思うので有り難く拝見させて頂きました^^。
(揃ってる画像は壮観ですね!)

ちなみに私も80年代成田氏の個展に一度行ったことがあります。
その時は六本木でしたが、ガラモンが表紙の画集が出る前の時期だったような。
個展会場ではマイティジャックの映像が流れてて、その近くに成田氏
本人がいらっしゃったのですが、私は萎縮して声も掛けられませんでした^^
[ 2015/12/26 18:54 ] [ 編集 ]

No title

個展会場での成田氏は本当にきさくだったので、興味深いお話を聴けたファンは多かっただろうと思います。

そうした体験のある方は情報発信してほしいですね。
[ 2015/12/26 23:09 ] [ 編集 ]

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