ヒトデとコウモリ

ヒトデとコウモリ
 
 

 
ウルトラマン第13話に登場したペスターは、ヒトデをふたつ並べたような身体にコウモリの頭部を持つという不思議なデザインです。
画像は美研のウルトラ怪獣手帳NO.1と同社スケールモデル怪獣。
 
 

成田亨画集ウルトラ怪獣デザイン編(朝日ソノラマ1983)によれば、ドドンゴでは演者二人を縦に並べたので次は横に並べてみようという発想が先行していたそうで、ヒトデのようなボディは二人を横に並べたシルエットの必然として導かれたようです。
ではそこにコウモリの顔を組み合わせるというアイディアはどこから出てきたのでしょうか。
 
 

画像は現代コミクスウルトラマン(現代芸術社)1967年8月号付録の「怪獣大パノラマ」、成田氏の画稿です。
 
 

このポスターで描かれたペスターは本編の撮影用スーツとはかなり印象が異なり、羽ばたくように身体を動かしているように見えます。
 
つまりボディ部分はヒトデであると同時に翼を広げたシルエットの意味もあわせ持つと考えることができ、そのように解釈すると中央の頭部がコウモリになっているのはむしろ当然ということになります。
一見奇抜なようでいて、実は安定感のある組み合わせでもあると考えられるのです。
 
初期ウルトラ怪獣には地球のどこかに実在していそうな不思議な存在感がありますが、奇をてらうだけでない高度な組み合わせの発想にも、その秘密があるのかもしれません。
 

上のペスターのように、撮影用スーツと成田氏のイラストでイメージにギャップが感じられる例は他にもあります。
視聴者には本編中に登場した怪獣が本物ですが、デザイナーの成田氏にとっては自分のイメージこそが本物であり、撮影用スーツはそれを現実化した二次的なものという位置付けになる、ということでしょうか。
 
撮影用スーツにはさまざまな制約があり、当初のイメージとは異なる部分や妥協せざるを得ないところも出て来てしまうものと考えられます。
ただし造形段階でデザインよりもさらに良くなったり新たなアイディアが加わる場合もあるので、あくまでケースバイケースではあるのですが。
 
 

例えばケムール人のスーツには植毛がありますが、これは頭部とボディを一体造形できなかったために継ぎ目をごまかすための措置だったそうです。成田画のケムールには毛は描かれていません。
画像はウルトラマン決定版!怪獣カード(現代芸術社1966)より。
 
 

 

また1980年代中盤のガレージキット隆盛期には、リアルと称してスーツのしわやファスナーなどを執拗に造形する傾向がありましたが、当時成田氏はそれに疑問を呈す発言をされていました。
画像はバンダイ製DXリアルファイティングウルトラマンより。
 
イメージと現実との落差による妥協で生まれたそうした部分は、デザイナーとしては不要な要素に違いありません。
せっかく制約の無い条件で造形できるのに、理想を追求しないでつまらない細部にこだわり続けるという姿勢は、芸術家である成田氏には理解しがたいものだったのかもしれません。
 
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[ 2014/07/02 10:57 ] 暫定 | TB(0) | CM(2)

No title

今回も夢のような図版を有り難うございます。

自分世代の好みとしては、シワ造形があって、アクターさんの体型を再現したウルトラマンが良いのでしょうが、近年売っているアクションフィギュアを見ると、シワは最小限で全員筋肉隆々としています。
話によるとその方が(若者が好んで買う分)売れるんだそうで、デザイナーの意図が時を越えて響いているかと思うと面白いです(※世代者としては微妙ですが…)。

初期ウルトラ怪獣の発想・デザインには「初めて発明した人の仕事が持つ 最高の美しさ」があると常々思っています。
近年では「ポケモン」の未だに続々生まれる新モンスターを見ると、円盤生物を見ている気分になったりして、時代は繰り返すなあ等と感じます。
[ 2014/07/03 08:01 ] [ 編集 ]

No title

今回掲載している成田氏の図版は大怪獣グラフィティ ウルトラ時代(ウルトラエイジ・ソフトガレージ1999)に収録されています。
おすすめですよ~(^^
[ 2014/07/03 23:42 ] [ 編集 ]

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