ライダーライセンスの謎

ライダーライセンスの謎
 
 

 
前回はポピーが1971年に発売した仮面ライダーライセンスを取り上げ、掲載イラストの素晴らしさについて触れました。
このカッコイイイラストを描かれたのは誰なのでしょうか。
 
 


ライセンスには残念ながら作者表記などは一切ありません。
書籍ではなく雑玩や文具に分類される商品なので、クレジットがないのはしかたのないことかもしれません。
 
 


他に手がかりを探してみると、同じポピーの仮面ライダーサイボーグ基地という玩具のイラストも同じ方が担当しているように見えます。
ヒトデンジャーが描かれていることから、ライセンスよりも後に制作されたものと思われます。
 
これはショッカー基地を模したケースとミニソフト人形のプレイセットですが、入手困難で現物未確認です。
上の画像はキャラクター大全仮面ライダー1号2号編(講談社2014)より。
現物をお持ちの方は、イラスト担当者の記載の有無などの情報をお寄せいただけると幸いです。
 
 
他には同じ方が担当されたと思われるものはこれと言って見つからず、ここで手がかりが途絶えてしまいます。
そのためこれらの見事な絵の作者は自分にとってずっと謎の存在でした。
 
 
ポピーのミニミニサイクロン号及びサイクロン号ダイカストミニキッドの箱絵も同じ方が描いたようにも見えますが、確信に至りません。
 

ところが最近になって、「もしかしたらこの人が描いたのではないか?」という画家の名前がふと頭に浮かびました。
なんの根拠も無く、あてずっぽうなカンに過ぎないのですが、思いついた名前は生頼範義氏です。
 
ただし私は生頼氏のお仕事について著名な映画ポスターなどでしか触れておらず、正直に言ってまったく見識を持ち合わせていませんので、以下の内容はただの勘違いという確率も高いです。
 
生頼氏について詳しくご存知の方からご意見をいただけたらと思います。
 


生頼氏は1960年代後半から70年代前半ころ、少年誌の表紙や口絵などの仕事をされていたようです。
ライセンスと同じ1971年には講談社のぼくらマガジン表紙で魔王ダンテを描かれていたのがウェブで確認出来ます。
また、この時期のキャラクタージャンルの仕事としては以下の絵本があります。
 
 

これら2冊はいずれも1971年5月に発売された写真絵本ですが、講談社がカラー写真を所有していない怪獣・宇宙人はイラストで補われています。
 
 

 

セブン編に掲載のキュラソ星人とワイルド星人。どちらも生頼氏の名前が記載されています。
ライセンスの怪人イラスト同様、人体描写が美しいです。
 
 

生命カメラと射撃ライセンスの銃の比較。
 
 

 

 

 

 

ウルトラマン編にはグリーンモンス、ラゴン、チャンドラー、ピグモン、スフランの5枚が掲載されています。
こちらにはクレジットが無く、確実に生頼氏によるものとは断言できませんが…
 
 

これはキュラソ星人とラゴンの右手部分を比較してみた画像。
手の甲から手先への流れ、鋭角的な指の形状などがよく似ています。
 
 
2冊の絵本は同月に発売された姉妹編というべきもので、編者も同じ赤井鬼介氏です。
こうした状況とタッチの類似から考えて、記名の無いウルトラマン編の絵も生頼氏によるものである確率は高いと思われます。
具体的には5月5日にウルトラマン編、20日にセブン編が発売されているので、先行のウルトラマン編でクレジット漏れに気付いて、セブン編では対応したのかもしれません。
 
これらの絵は同じ講談社のワールドスタンプブック怪獣の世界に一部転用されているので、そちらでご記憶の方も多いかと思います。
また画稿の初出については絵本以前にたのしい幼稚園本誌や増刊号などに掲載のあった可能性もありますので、ご存知の方はご教示いただけたらと思います。
 

生頼氏の講談社での仕事が確認できる1971年は、ポピーと講談社・たのしい幼稚園が密接な関わりを持っていた時期でした。
 

従来に無い斬新なパッケージデザインを模索するポピーに対し、たの幼編集部がデザイナーの水野石文氏を紹介したそうで、水野プロを媒介として両者は深いつながりを持つことになります。
上の画像はミニソフト人形に封入されたカタログですが、唐突にたの幼のタイアップ広告がはいっており、両者の特別な関係が象徴されています。
 
 
 

 
また、たの幼編集部が発行していた仮面ライダー写真絵本を再編集したポピーの仮面ライダーという絵本も制作され、ミニソフト人形との箱入りセットで販売されました。
 
 
こうした周辺状況から、ポピーが制作した仮面ライダーライセンスに講談社・たのしい幼稚園で仕事歴のある生頼氏が参加していたということは、可能性として考えられるのではないでしょうか。
 


 
その後の生頼氏のキャラクタージャンルの仕事として、1976年に描かれた52年度版全怪獣怪人大百科(ケイブンシャ)の表紙画が確認できます。
 
 

 

 
その色使いやタッチは宇宙や射撃のライセンスに似ているようにも思えるのですが、どうでしょうか。
 

繰り返しますが、私は生頼氏の仕事に関してほとんど見識がありませんので、以上の内容は根拠の薄い思いつきにすぎません。
より詳しい方からご意見やご指摘をいただけると幸いです。適切な根拠に基づく否定意見も歓迎いたします。
 
 
なお、今回の内容はいちファンの立場で知りうる情報からの想像や妄想であり、遊びの範疇に収まるものです。
真実は直接の関係者にしかわからないという当たり前の前提はご理解いただけますようお願いいたします。
 
また、本年2~3月にみやざきアートセンターで生頼氏の企画展が行われたとのことですが、ぜひ関東近県でも巡回展を開催していただけるよう願っています。
 
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[ 2014/04/22 12:57 ] 暫定 | TB(0) | CM(18)

No title

はじめまして。
画像を拝見させて戴いて、僕も生頼氏の描写にかなり近いかなと感じます。

ただ、ライダー、ウルトラ怪獣には各々もうお一方ずつ担当された方も居られたかな?…とも想像します。

ライダー側には、野口 竜氏。

野口氏は石森プロ(当時)での業務経験があり、後々戦隊や宇宙刑事シリーズの怪人デザインも担当されました。
ライダー怪人の彩色線画のポーズや力感が、前述の戦隊等の怪人デザイン画に近似してるのでは?


ウルトラ怪獣側には、美術監督の成田 亨氏。
無記名分の怪獣イラストが、成田氏のデザイン画の立体的描写に近似した感じがします。

以上、一ファンのとりとめない想像ですが。

ここ以前のブログも読ませて頂きました。
とても充実して、楽しかったです。
ありがとうございました。
[ 2014/04/22 23:32 ] [ 編集 ]

No title

ご訪問ありがとうございます。

成田氏はこの時期、円谷プロ・講談社双方と距離をおいていたようなのでイラストの担当は考えにくいのではないかと思います。
(円谷とは帰ってきた~でのデザイン無断使用・改変問題が、講談社はウルトラの記事にデザイナーとして成田氏のクレジットを入れる約束を勝手に反故にした問題がありました)


野口竜氏は当時たのしい幼稚園で仮面ライダーの漫画などを担当されていて、それらは仮面ライダー復刻大全集(講談社2013)で見ることができます。
石森風の漫画のほか、写真構成の「写真まんが」では実写風のリアルな作画も披露されていて、安定した実力がうかがわれます。

ただライダーや怪人の人体作画に着目すると、ライセンスの怪人画の作風に近い要素は、私見ですが感じられないです。

野口氏は多様な仕事をこなす懐の深い方ですので、ライセンス参加の可能性自体は残るかと思いますが、確率は低いのではないかというのが当方の暫定的な判断です。


あくまで私見ですので、どちらも可能性自体を否定するつもりはありません、念のため(^^
[ 2014/04/23 14:25 ] [ 編集 ]

No title

なるほど、、。生頼氏にテイスト近いですね。
ワールドカードは非常にはまっていたので、なぜか、強烈なイラストで描かれていたラゴンやワイルド星人が当時インパクト強かったです。

チャンドラー、ピグモンのイラストは始めてみました。良い味出てますよね==!!
[ 2014/04/23 23:37 ] [ 編集 ]

No title

わたしも当時はスタンプブックでこれらの絵に触れました。
荒々しくかっこいいラゴンに、本編とはまったく異なる魅力を感じました(^^
[ 2014/04/24 10:16 ] [ 編集 ]

No title

僕も同じく、ワールドスタンプブックでこれらのイラストを見たクチです。(でもって今まで成田氏の筆だと思っていました…)

確かに、生頼氏のタッチに良く似ているのですね。「怪獣怪人」表紙画のキョーダインのフォルム解釈(というか手癖)が、ライセンスのライダーの顔にも共通していると思います。
「ポピー×講談社×水野プロの蜜月」の論も、とても説得力が有ります…。

それにしてもあの生頼氏が口絵作家をしていたとは…。(※個人的に最近、ダイアポロンの画をたくさん描いていたので、「怪獣怪人」の表紙画が胸アツでした。八つ当たり記事の玩具写真もごっつぁんです…!)
[ 2014/04/25 05:11 ] [ 編集 ]

No title

一連の怪獣イラストを成田氏のものと考えている方も多いのでしょうか?

私の場合、グリーンモンスの形状がデザイン画のコンセプトからかけ離れている点から、成田画としてはありえないと判断しています。
ピグモン(=ガラモン)の顔、特にクチビルや目の描き方も成田氏とは大きく異なる印象を受けます…あくまで個人の意見ですが(^^


ところでダイアポロンの絵を描いていたというのが気になります。
まさか完全変型モデル実現……?
[ 2014/04/25 11:14 ] [ 編集 ]

No title

『仮面ライダーライセンス』のイラストは、ゴジラ対ガイガンのガイガンのデザイナーとしても知られる
イラストレーターの水氣隆義さんによるものだと思われます。

http://www.art-micbox.com/w02-Ultra-05.html
こちらは水氣さんのサイトにあるイラストギャラリーですが、
こちらの「仮面ライダー」の項を見れば一目瞭然(^^)
[ 2014/05/10 23:33 ] [ 編集 ]

No title

貴重な情報、ありがとうございます。
水氣氏のHPは以前ブックマークしていたのですが、いつのまにかリンク切れになっていて無くなったものと勘違いしていました。
また見られてよかったです(^^

確かに画力の高さ・人物描写の確かさ・講談社との関係などから、水氣氏がライセンスの絵を描かれた可能性はあると思います。

ただ、私見ですが、画風自体が若干異なるように感じられます。
せっかくの情報提供ですので、きちんと応えるために、以下に正直な私の感想を書きます。
ただしあくまで私個人の感想であり、可能性自体を否定するものではない、という前提でお読み下さい。

(続きます)
[ 2014/05/11 11:47 ] [ 編集 ]

No title

(続き)

当時の水氣氏の画風は硬質、静的で乾いた印象なのに対し、ライセンスの絵はより軟質で動的、ウェットな感じを受けます。
このあたりは言葉でうまく伝わらないかもしれませんが、例えて言えば、

・水氣氏……モデルにポーズをとらせてそれをデッサンしたような感じ。彫刻的な印象で、指先まで力が入って静止しているように見える

・ライセンス……動いている対象をサラサラとクロッキーしたような印象。ポーズに躍動感や空気感があり、指先はやわらかく流れている

というような感じです。
具体例を挙げると、リンク先の紙芝居13番に描かれたサラセニアンとハチ女はポーズがやや硬く感じられますが、ライセンスを描いた画家ならこうした表現にはならないように思えます。

ディテールについて言えば、各怪人やサイクロン前面カウルの形状などの表現に大きな差異が見られます。
またライダーの頭部はライセンスではほとんど球形のヘルメットのように解釈されていますが、水氣氏は人間の頭骨のような卵型に近いシルエットで捉えていると思います。

(続きます)
[ 2014/05/11 11:48 ] [ 編集 ]

No title

(続き)

以上のような点から、ライセンス絵の作者を水氣氏と判断することには個人的に疑問符が付きます。

念のため、これは私の感じた作風の違いについての意見であり、両者の優劣を判断しているわけではありません。


また、ライセンス絵の作者の画風については現物を所有していないとなかなかわかりにくいという面もあるので、この点は当ブログの記事だけで理解しろというのは無理な話で、私の書き方が不親切でした。


当ブログでは基本的に、特定の出版物のすべてを掲載することは好ましくないと考えて、記事で取り上げる際は一部の抜粋に留めています。
画像もなるべくスキャンはせず、デジカメでの複写にしています。

こうした事情もあり、ブログの掲載画像だけで正確な判断をしてもらおうというのはちょっと無理があったと思いますので、その点は反省します……(--)
[ 2014/05/11 11:49 ] [ 編集 ]

No title

ちょっと、水氣隆義さんの方は画風がスタイリッシュな感じがしますね。
[ 2014/05/12 01:15 ] [ 編集 ]

No title

特に彩色に顕著ですね。
おおづかみな面分割で形状を捉えて、各面を単色で塗り分けるようなスタイルが基調になっているように見えます。
[ 2014/05/12 09:32 ] [ 編集 ]

No title

初めて書かせて頂きます。仮面ライダーライセンスの絵柄
誰が書かれたなんて勉強不足で?が浮かぶ次第なんですが、
仮面ライダーの版権絵ではあまり見ないタッチで興味深いです。
何より、青い体色に薄緑のコンバーターのライダーて個人的に
とても好きなんです。このカラーはこの時代の商品にしか
見られないカラーで独特の美しさがありますね。
[ 2014/05/14 18:22 ] [ 編集 ]

No title

青いライダー、かっこいいですよね。
この彩色パターンは旧2号時期のノートやスケッチブックに多く見られるので、当時の石森プロ内の版権イラスト担当の方のセンスだったのかなと想像しています(^^
[ 2014/05/15 00:08 ] [ 編集 ]

No title

ほんとうに 対象物(トカゲロン・キノコモルグ) の陰影のつけかたや
特徴的な彩色は生頼さんの絵ですね。
生頼さんは平井和正さんの小説の挿絵をハヤカワ文庫の頃から担当していましたし、
平井和正さんは1970年に早川書房とけんかをして文筆の仕事をほされていた時、講談社の当時の編集長 内田勝さんの依頼で「週刊ぼくらマガジン」に「ウルフガイ」(新生)の原作を担当しているので、そういった経緯も背景としてあるのかもしれませんね。推測にすぎませんけれど…。
掲載画像にありますグリーンモンスの赤く光る目は、学生時分に読んだ「死霊狩り」の、あの名状し難い不気味さを彷彿させます。
生頼さんの(特に初期の)画風はどろろとした血なまぐささがあって、その暗く妖しいタッチは他の絵描きの方とは一線を画す個性だと思います。

ブログご主人様の観察眼はすごいものですね。
[ 2014/08/29 16:08 ] [ 編集 ]

No title

書き込みありがとうございます。
生頼氏に詳しい方の目にも可能性が高そうに見えるというのは心強いです。

ぼくらマガジン版ウルフガイ、坂口尚氏の作画がかっこよくて昔からお気に入りですが、そんな経緯があったんですね~(^^
[ 2014/08/29 23:43 ] [ 編集 ]

No title

古い話題ですが、私も生頼氏だと思いますね
SPACE LICENSEのメカやMARKSMAN LICENSEの銃に手癖が出てます
後年の角川文庫の幻魔大戦表紙イラストなどでサイボーグ戦士ベガの銃とも槍とも剣ともつかない武器のタッチそっくりです
[ 2017/01/19 15:43 ] [ 編集 ]

No title

感想ありがとうございます、真相は永遠の謎ですが疑惑は濃厚という感じでしょうか。

全怪獣怪人~の表紙とスペースライセンスは、地球の描き方がほぼ同じに見えます(^^
[ 2017/01/20 10:50 ] [ 編集 ]

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