オリオンのガンダム

オリオンのガンダム
 
1979年、オリオンは前2作に続いて機動戦士ガンダムの廉価玩具を発売します。
ダイターン3を継承したミニ合金のほか新たに動力内蔵の「ゼンマイシリーズ」が加わりました。
価格は各500円だったようで、メーカー表記はすべてオリオンとセブンの併記になっています。
ミニ合金は4点を集めた大箱セットも販売されたほか、劇場版公開時にも再生産されています。
 
ミニ合金シリーズ  ガンダム
            ガンキャノン
            ガンタンク
            ゴールド合金ガンダム
 
ゼンマイシリーズ  ホワイトベース
             コアファイター   

  

ミニ合金ガンダム。ダイターン3と同様ボディのみ合金製で腕・脚のプラパーツは取り外しできます。
説明書やシールは付属しません。
画像の現物は本放送時購入したものですが、ビームサーベルが欠品しています。 いつの間に……
 

ミニ合金ガンキャノン。ボディパーツはガンダムから流用しており、塗装で差別化しています。
オリジナルのミサイル砲が付属。
 

ミニ合金ガンタンク。こちらもボディはガンダムの流用ですが、意外に気になりません。
箱の上部に「合体できます」と書かれているのは、腕や脚、付属パーツを付け替えて遊べるという意味です。
 

箱側面の画像。
 
 

本放送当時、主役モビルスーツ3体を手軽にそろえられる玩具としてミニ合金はありがたい存在でした。
 

ガンダムとガンキャノンは平面で構成された下脚部が特徴的です。
背面にはコロ走行用の車輪があります。ザンボット3からクローバー系の合金玩具に延々と続くこの仕様は、かつてのバンダイ模型と同様に「ロボットは動かして遊ぶもの」という当時の大人の思い込みによるものなのかもしれません。
 

ガンダムはハイパーバズーカやビームスプレーガンを思わせる武器が付属。ボディのほか、なぜかシールド下部からもミサイルを発射します。
本体各部のディテールはクローバーのダイカストとほぼ同じで、マスクにスリットは無く鼻が露出しています。
 

ガンキャノンはミサイル砲とビームライフルを手首に装着できます。
ビームライフルのグリップには手首が一体造型されており、これはガンプラより先行したアイディアです。
 

ガンタンクはタンク正面からミサイルを発射可能。
 

これら3体は脚部を取り替えることで擬似的にA・Bパーツを付け替えたような状態にできるため、クローバーのダイカストバリエーションシリーズと商品内容が重複していました。
ただしバリエーションのガンタンクは単品売りがほとんど出回らなかったようなので、実際に店頭で主役3体をそろえようとするとミニ合金を選択することになる場合が多かったようです。


ゴールド合金ガンダム。画像は銅を思わせる色で塗装されていますが、ダイカストの地色そのままのバージョンも存在します。
 

ダイターン3と同様の合金パズル仕様です。
 

本体はアニメの設定に準じた形状で造形されており、放送当時の立体物としては貴重な存在でした。
ランドセルとビームサーベルの省略が残念なところ。


ゼンマイシリーズ・ホワイトベース。本体はプラ製で内蔵ゼンマイで走行します。
 

本体正面からミサイルを発射。造形・色彩ともにいまひとつ魅力が薄いようです。
 

ゼンマイシリーズは当時の生活圏では見たことがなく、画像の現物は旅先のドライブインで購入した記憶があります。
 

同シリーズのコアファイターは未入手です。フィギュア王(ワールドフォトプレス)のガンダム特集号などに掲載された画像を見ると、なぜかマッハアタッカーによく似た形状・色彩だったようです。
 


ミニ合金とゴールド合金のガンダムを比較すると各部の形状が大きく異なっています。
クローバーのダイカストやオリオンのミニ合金は、なぜ映像中と異なるディテールで造形されているのでしょうか。
 

これは放送末期にサンライズが発行した「機動戦士ガンダム記録全集1」に掲載された玩具製作用図面。
当時のガンダム玩具の多くはこれをもとにしたため、アニメ設定とは異なるものになってしまったようです。
 

こちらは放送初期のアニメージュ(徳間書店)の記事より。ガンダムはアニメ用の準備稿が掲載されており、一部のディテール・色彩が当時の玩具と同じになっているのがわかります。
 
 
もともとガンダムのデザインはスポンサーなど各所の意向を取り入れつつメカデザイン担当の大河原氏が描き上げたものです。
現在公開されている大河原版の最終稿を見ると、上掲の玩具製作用図面とほぼ同じディテールになっているのが確認できます。
こうした要素から当時の状況を時系列順に想像してみると…
 
  1 クローバーなどの承認を得た大河原版最終稿がメカデザインとしては決定稿となる
  2 大河原版が各所に配布され、玩具開発担当の部署ではそれをもとに作業を進める。一方アニメ制作現場    ではキャラクターデザインの安彦氏がアニメーションディレクターとしてアニメ用の設定を起こす作業に入る
  3 安彦氏によって大河原版のディテールの一部を変更(人間のような口をマスクで覆うなど)した設定が描     かれる
  4 すでに動き出していた玩具製作部門はあわてて安彦版の変更点を玩具に反映させる手配をする
  5 安彦氏はさらに細部を煮詰めてアニメ用設定の決定稿を描く
 
おおむね以上のような状況の流れによって、ガンダム玩具の多くはアニメと異なる形状になってしまったのではないかと考えられます。 (あくまで想像です。確定した事実ではありません) 
 


本放送当時のガンダム商品は、玩具だけでなく絵本や文具などでも準備稿の痕跡を残したものが珍しくありませんでした。画像のスケッチブックのガンダムは準備稿の色彩になっています。
 

立体玩具では、開発のスタートが遅かったものだけがアニメ用決定稿に合わせた造形が可能でした。
オリオンのゴールド合金や、画像の大里玩具製プラ玩具などはこうした例に当たると思われます。
 

画像の大里玩具のガンダムはビームライフルが欠品。 いつの間に……

    
        
 
オモチャを売りたいと考える玩具会社と、いい作品を作りたいと考える制作現場ではそもそもの目的にズレがあるため、意思の疎通が不十分だったとしても仕方のないことかもしれません。
 
マジンガーZの大ヒット以降、ロボットアニメは作品内容よりもオモチャを売ることに重きが置かれる傾向がありましたが、最低限の制約はクリアしつつも映像作品としての力でそれをねじ伏せた「機動戦士ガンダム」は、やはり特別な存在だったとあらためて感じます。
 
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[ 2011/01/08 23:46 ] チープトイ | TB(0) | CM(4)

No title

準備稿や玩具用図面を交えた記事は読み応えがありました。
若いガンダムファンには違和感を感じる商品かもしれませんが、
当時の廉価玩具と考えると十分な商品内容だと思います。
ボクはこういった廉価玩具も買えず、
もっと値段の安いゴム製のガンダムフィギュアで遊んでました(苦笑)。ポチ!!
[ 2011/01/09 10:11 ] [ 編集 ]

No title

消しゴム人形、ありましたね。
なかなかいい形状だったから、ガンプラ登場以前は重要アイテムのひとつでした(^^
[ 2011/01/09 21:29 ] [ 編集 ]

No title

背中に見える+ネジ頭がグッときました(笑)
ゼンマイで走るホワイトベースは凄くいいですね。

ゴットフェニックスのプラモがバンダイ最後のリモコンプラモ?
のような気がしますが、リモコンで走るホワイトベースのプラモデルも見たかったです。
[ 2011/01/16 01:26 ] [ 編集 ]

No title

ホワイトベースのリモコンプラモ、想像すると楽しいですね。

やっぱり小松崎茂氏の箱絵で、アオリでなく俯瞰の構図でしょうか。
背景は宇宙で、遠景にサイド7。周囲にガンダムとコアファイターが飛び交い、後方には爆発するムサイ艦……という感じで(^^

勝手な想像ですが、あらためて小松崎箱のガンプラも見たかったと思います。
[ 2011/01/16 17:39 ] [ 編集 ]

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