成田亨 美術/特撮/怪獣

成田亨 美術/特撮/怪獣
 
 

青森県立美術館の企画展「成田亨 美術/特撮/怪獣」を見てきました。
1日では見きれないという感想が多いようなので、2日かけてじっくり鑑賞しました。
 
 

新青森駅に着くと、冷たい風のなか低い雲が流れていく曇天。
成田氏の描く雲を思わせて雰囲気は満点?
 
 

青森県立美術館全景、これは晴れた2日目の画像。縄文時代の遺跡を含む広大な土地に作られた白く美しい建物です。
平日を選んだので混雑はしていませんでしたが、幅広い年齢層の来場者がコンスタントに鑑賞していたようです。
チラリとポインターが見えています。
 
 

入り口脇に置かれたレプリカ・ポインター。劇中車と同じ車種を改造したらしく、ほとんど本物のような存在感です。
 

後方から見ると、このまま飛んでいきそうに思えます。じつにカッコイイ!
キャラクタージャンルの改造車輌は数あれど、カタチのおもしろさ・かっこよさ・公道を走ってもギリギリなじむ品格など、やはりポインターはトップクラスの一台でしょう。
 

元車輌が残された部分にはさすがに年月の重みが表れています。
 

このポインター、どうも印象がマイルドだなと思ったら、車体前部が曲面的にアレンジされているようです。
 

こちらはユニファイブ製1/32モデル。比較すると前部は平面で構成されていてより鋭角的になっています。
道交法や改造の規制の問題なのかもしれませんが、平面の美しさが削がれてしまったのは少し残念。
 
 


 

 
企画展は12の展示ゾーンで構成されていて700点以上の作品があり、ひととおり見てまわるだけで4時間くらいかかりました。
画像のドキュメントブックは会場内の様子を紹介するパンフレットのようなもので、モデルカステンで通販もされています。
 
以下、特に印象に残ったことをメモしておきます。
 
 
1 初期作品
ここでは彫刻のための構想スケッチ?のようなものがちょっと衝撃でした。
具体的になにを表現しているのかよくわからないもの(半抽象?)が大半なのですが、その抽象形体そのもののカタチと立体感に不思議なほど強く心をひかれました。
そこに感じられる魅力が、成田デザインのキャラクターやメカニックに感じるそれと完全に等質なのです。

カタチの追求を本義とした彫刻家の成田亨が、その感性のもとに特撮キャラクターをデザインした。
初期のウルトラキャラクターが唯一無二のオリジナルな存在になっているのは、それゆえなのだと腑に落ちました。
 
同じ意味で、「帰ってきた~」以降に初期ウルトラと並び立つようなキャラクターが生まれ得ないのも納得できます。
すべての基礎が彫刻家としての成田独自の感性に立脚しているのに、成田が降板してしまったら、成田デザインの個別要素を抽出・パターン化して組み合わせを変えたり、本来相容れない別な要素を無理やり組み合わせるなどしてバリエーションを増やしていくことしかできないのですから。
 
「ウルトラマンをデザインしたのは彫刻家の成田亨」ということは小6のころから知っていましたが、その意味をようやく理解できた気がします。
 
 
6 MU/ネクスト 実現しなかった企画案2
成田亨作品集(羽鳥書店)でネクストを見たときは、単なる地味なキャラクターとしか感じられなくて正直に言ってあまりピンときませんでした。
ところが今回、会場でマスクの立体物を見てその印象が大きく変わりました。

特に金と黒で仕上げられたマスクですが、側面シルエットや眼の周囲の面構成などを見ているとウルトラマン・セブンとつながっている、同じ血脈であることが色濃く表れています。
写真では地味にしか見えないのに、実物はとてもかっこいいのです。同時にカタチの魅力にもあふれていて見飽きることがありません。
これがウルトラヒーローの進化なのか、発展なのか、応用なのかはよくわかりませんが、間違いなく次の成田ヒーローであることを強く感じました。
 
 
8 ウルトラ
ウルトラ系には初見のものは少ないはずですが、それでも新たな気付きがいくつかあって、特に成田亨画集(朝日ソノラマ)で白黒ページに掲載されていたデザイン画は本物を見て印象が変わるものもありました。
ゴルドン準備稿には身体を縦に走る鮮やかな模様があって、イモムシから発想されたことがより具体的にわかります。背中の突起の形状もイモムシの触角を半抽象化した結果のようです。
 
これに限らず、デザイン原画は印刷物で見るより全体に色鮮やかで色彩の美しさが印象的です。最新の成田亨作品集も、色の再現に関してはいまひとつのようです。
ステーションホーク1号がホーク3号NG稿の流用というのも初めて知った気がします。

また、このゾーンには成田氏が作成した「怪獣の発想2」というスクラップ資料の展示があって、たいへん興味深いです。
これはデザイン画とそれを描く際に参考にした写真資料のコピーを並べたもので、成田亨作品集では一部が白黒かつ小さな写真で掲載されています。
会場で現物をじっくり見ると、あらためて驚かされることがいくつもありました。
エレキングの色彩と頭部形状がバッタを参考に生み出されたこと、ガボラの閉じたヒレは鳥のクチバシから生まれたこと、植物怪獣のスフランがコブラをもとにデザインされていること、などなど…
カタチのおもしろさを追求する成田氏の素材選択の着眼点、意外性を確認できます。
今回展示されていないものも多数あるようなので、いずれすべてが公開されることを期待しています。
 
 
10 ヒューマン、11 バンキッド
ヒューマンはプロジェクターで公演の様子が投影されていて、見たことのない写真ばかりでした。
番宣ポスターの展示もあって、それによると制作クレジットは日本テレビ/ユニオン映画、提供は明治製菓/ヨネザワのオモチャ/クツワ株式会社、マルCはNTV/モ・ブル。
ユニオン映画の関わりがちょっと気になります。

バンキッドは初見のデザイン画が多く、見応えがありました。
カタチのおもしろさが突き抜けたデザインがたくさんあるのに書籍での収録が少ないのが残念。この点は今後に期待したいです。
 
 
12 1970-90年代の絵画・彫刻
ここではいわゆる純粋芸術とキャラクターをモチーフとした作品が等価なものとして展示されていて、成田亨という無二の才能の個性・独自性が象徴されていました。
その正当な評価はあまりに遅すぎてようやく始まったばかりですが、とにかく始まったこと、第一歩を踏み出したことの意義深さをかみしめたいと思います。
 
 


 
 今回の成田亨展は富山・福岡と巡回して青森がラストです。
個人的に、最初の富山に行くつもりだったのが仕事の予定変更でツブされたので、青森は万難を排してのぞみました。
 
これほどの規模で成田亨の作品に触れられるのは、空前にして絶後となるかもしれません。
常設展も鑑賞したのですが、感性が完全にナリタ化してしまっていてほとんど心が動かないほどでした。
(唯一、安彦良和氏の漫画原稿はそのすばらしさに舌を巻きましたが)
 
会期は残り少ないですが、迷われている方はぜひとも足を運ぶべきです。強くおすすめします。
 
 

帰る時の新青森駅は、前日とは打って変わって快晴でした(^^
 
 
なお、今回の企画展では成田氏がウルトラマン放映当時に現代芸術社などで描いたイラストがほとんど展示されていませんでした。
当ブログで以前取り上げた「現代コミクスウルトラマン」の付録ポスターは、大怪獣グラフィティ・ウルトラ時代(ソフトガレージ1999)に原画と思われる画像が掲載されています。
また昨年洋泉社が発売した初代ゴジラ研究読本では、表紙に成田氏のイラストが使用されています。
 
これらの原画がどのように保管されているのかは知る由もありませんが、いずれまとまった形で公開されることを期待しています。
 
 

 
次回は、成田展で突如デザイン画が公開されたあの星人について少し書いてみるかもしれません。
(記事はこちら)
 
 
 

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[ 2015/05/24 13:43 ] 暫定 | TB(0) | CM(2)

調整中

PC環境調整中につき、テストを兼ねてつなぎ更新です。
 

 
いずれも19cmサイズのダンバイン(クローバー)とガンバロン(ブルマァク)。
 
キャラクター選定に意味はありません。
 
[ 2015/05/10 23:55 ] 暫定 | TB(0) | CM(4)

マットカー ダイヤペット

マットカー ダイヤペット
 
 

画像はヨネザワ製のミニカーシリーズ「ダイヤペット」のマットカー(マットビハイクル)。
 
 

帰ってきたウルトラマン放送中の1971年12月に650円で発売。
日本で最初の本格的な合金キャラクター玩具とされています。
 
 

マットビハイクルはもともとマツダ・コスモスポーツを無改造で使用した劇中車だったので、ダイヤペットの既存製品にマーキングを施すだけでリアルなキャラクターミニカーになっています。
 
 

車名の刻印はMAZDA COSMO SPORTのまま。金型などにはまったく手を加えていません。
 
 

コスモスポーツのデザインには1960年代後半~70年前後に特有の、新幹線・ジャンボジェット・大阪万博などにも通じる独特なかっこよさが感じられるように思います。
 
おそらく当時の市販車としてはかなり異質で、だからこそ劇中でもスーパーカーとして違和感なく受け入れられたのではないでしょうか。
後年のスーパーカーたちと並べてもまったく遜色ありません。
(カウンタックはサクラ製、ポルシェはダイヤペット、童夢-零はカドー製)
 
 

ドア・ボンネットは開閉します。スケールは合わないものの、ブルマァクミニミニ怪獣シリーズのマット隊員を横に立たせてみるといい感じです。
 
マットカーの好評を受けてダイヤペットにはキャラクター車が続々と登場しましたが、大半は既存車にヒーローの絵のシールを貼り付けた程度のもので、本編とは無関係な玩具でした。
「流星人間ゾーン」のマイティライナーだけはミニソフト人形とセットの本格的なキャラクター玩具になっていましたが、これは唯一の例外だったようです。
 
 

既存の出来のいい一般玩具を流用してリアルなキャラクター玩具を作るという構図は、同時期にタカラがGIジョーを使って「正義の味方」シリーズ(のちに変身サイボーグ)を発売したケースと同じです。
こうした事例は、見方を変えれば「当時のキャラクター玩具の水準は一般玩具よりも劣っていた」ことを示しているとも受け取れます。
 
70年代に少年期を過ごした我々には「キャラクター玩具こそオモチャの花形」という認識がありますが、60年代末~70年前後の玩具業界の様相はそうではなかったようです。
 
マットカーより半年ほど遅れた1972年6月には、ポピーからポピニカ・サイクロン号(当時はミニミニ名義)が発売されています。
サイクロンも開発当初は他社のバイク製品のパーツを供給してもらおうと模索したものの実現せず、結果として自社でイチから金型を起こすことになったそうです。
このサイクロンのヒットがポピニカシリーズを生み、さらには超合金の誕生につながります。
 
ポピーが70年代のキャラクター玩具の覇者になることは、この時点で決まっていたのかもしれません。
 
 

 
 
 

 
こちらは1975年ころのポピニカ・超合金のカタログより。絶版品の多くが「限定商品」と銘打った上で掲載されています。
絶版商品まで動員してカタログ掲載品を増やしていることにはどのような目的があるのでしょうか。
 
これには、業界内で低く見られていたキャラクター玩具の位置付けをなんとか押し上げようとする努力の姿勢が表れているように思えます。
 
このことについてはいずれ「一般玩具VSキャラクター玩具」というような視点で書いてみたいと考えています。
 
 
 
[ 2015/05/02 00:53 ] 合金・プラトイ | TB(0) | CM(2)